運動には次のような効果があります。
筋力の向上、肥満の改善、血圧の改善、糖尿病の改善、ストレス解消、老化予防などであります。しかし運動にも限度があります。体を動かすと息が切れますが、体の代謝には酸素が必要です。
私たちの体には、その時酸化力の強い「活性酸素」が出現します。
これが細胞の膜を酸化すると膜の機能が障害されて、そこを通って栄養物や老廃物の出入りがうまく行かなくなります。
また、エネルギーを作る場所であるミトコンドリアが活性酸素で破壊されると組織がうまく働かなくなり心筋梗塞を起こします。
年齢別に突然死したスポーツの種目を調べてみると、19歳までは死亡率のトップはランニングで、その後は水泳、サッカーの順です。
20〜39歳では、ランニングがトップで、水泳、スキーと続きます。
40〜59歳では、ゴルフがトップで、ランニング、水泳の順で死亡してます。
60歳以上では、ゴルフ、ゲートボール、ランニングの順です。
さて、ランニング中に突然死する危険率を1とすると、40〜50歳のスポーツ種目別に危険率の高いものは、剣道(2.5)、登山(1.8)、スキー(1.9)、野球(1.2)、となります。60歳以上では、ゴルフ(6.5)、登山(6.1)、ゲートボール(1.3)、ダンス(1.3)となっています。
次に突然死の原因はどうでしょうか?
Wallerによれば若年者では、先天性の冠状動脈奇形とくに左冠動脈の奇形(ここが狭いと心臓に栄養が補給できない)と肥大型心筋症(心臓のポンプとしての働きが悪い)がかなりの部分を占めています。
一方中高年の突然死では。動脈硬化が進み冠動脈の閉塞が起こって発生する心筋梗塞が圧倒的に多い。
尚、運動中では頻度は少ないが、熱中症があります。真夏のマラソンや炎天下のゴルフでは、熱射病による体温の異常上昇とともに、脳、心臓、肝臓、腎臓が障害され
死亡します。
では、突然死はどうしたら防げるのか?
突然死を起こした人のちょっと前の症状を調べると、胸痛(25%)、強い息切れ(10%)、動悸あるいはめまい(5%)、頭痛などを訴えています。これらは循環器疾患に
関係ある症状です。疲労感(20%)も多い症状です。
自覚症状を認めたら運動をやめましょう。また、日頃座って仕事をしている人が急に激しい運動をすると休んでいるときの50倍心筋梗塞の危険が高いことが分かってい
ます。
若年者では、以前にウィルス疾患の既往があるか、あるいは失神の既往があるかが大事です。心臓の疾患を抱えている可能性が高いからです。
ゴルフをする人は中高年のスポーツ愛好家が多いのですが、運動してない人と比べ肥満度、高血圧、喫煙頻度、高血糖、高コレステロール血症、中性脂肪の上昇、高
尿酸血症など、心臓の冠動脈の危険因子を持っている割合には、差はありませんで
した。これらの疾患を持つ人は、適度の運動はいいのですが、やり過ぎると冠状動脈を閉塞させる危険をともなっています。運動によって不整脈が起こり亡くなることもあり
ます。
スポーツ大好きの体育学生では、肥満や高コレステロール血症や中性脂肪の高い人が多いのですが、どんなにトレーニングをやっても動脈硬化の進行を止めることは出来ません。すなわち、スポーツは万能ではありません。スポーツをする人は、年に1回
はメディカルチェックが必要です。
胸部レントゲン、心電図だけでなく、心エコー、運動負荷心電図を測定して下さい。
安全な運動としては散歩があります。
(運動中の理想の脈拍/分)=(290−年齢)÷2 となるようなスピードで週4回以上、1回30分以上散歩して下さい。どんなスポーツより健康に勝っています。
40歳を越えたら競争するスポーツから引退して、楽しむスポーツに代えることを提案します。
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